フェリー[フェリー乗り場]情報(冬)
冬のフェリー[フェリー乗り場]情報
帰省や旅行など、長距離の移動が増える冬。旅先まで自家用車を運ぶことができるフェリーは、船旅とドライブという2つの旅の楽しみを味わえるなど、様々なメリットがあります。ぜひ、冬の旅の交通手段として選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
フェリーの安全対策

天候の影響を受けやすいフェリーの旅。特に、冬の季節は強風による横揺れやダイヤの乱れ、接岸に要する時間など、不安に思うことも多いことでしょう。しかし近年のフェリーでは、様々な安全対策を講じているため、快適な船旅を実現。長距離フェリーなどでは、下記のような各種装備を備える船が増えています。
- フィンスタビライザー
- 波や風の影響で激しく揺れることもあるフェリー。大きな揺れによる船酔いは、フェリー旅の懸念ポイントのひとつでもあります。そこで、フェリーでは揺れを和らげる装置「フィンスタビライザー」を装備しています。これは、左右両サイドの船底近くの場所に取り付けられた翼のような形をした物。揺れに合わせて角度を変えながら揺れを吸収し、船体を安定させています。近年ではコンピュータによって翼の角度をコントロールすることで、8割前後の揺れを減らすことができるとも言われています。
- サイドスラスター
- 離着岸をスムーズに行なうための装置。船体の左右にトンネルがあり、そこに取り付けられたスクリューがサイドスラスターです。このプロペラを回すことで、船を真横に動かすことができるため、離着岸の際にはもちろん、狭い航路や小さな半径で回転を必要とする場合にも有効です。
- バルバスバウ
- 船首に丸く突き出した突起物のことで、波の抵抗を軽減させるために開発された装置です。
- 可変ピッチプロペラ
- エンジンの回転を変えずに一定回転を保ったまま前進、後進、変速、停止ができるようにするための装置です。羽根の角度を自由に変えられる機能を備えたプロペラのことで、この羽根の向きを変えることで速度を調節。全速前進から一気に全速後進できるなど、操作性の向上と同時に、緊急時の安全性向上にも役立ちます。
- アンテナ(レーダー)
- 電波を発信しながら、目標物に当たった電波を受信することで、衝突事故などを未然に防ぎます。
フェリー利用による環境保護
国内の移動や荷物の運搬でメジャーな手段と言えば自動車。冬の行楽シーズンや帰省時にも、車を使って移動する人は多いでしょう。しかし自動車移動によるCO2の排出量増加が、地球環境に悪影響をもたらしていることは明らかです。
そこで地球温暖化対策として、海上輸送を有効活用しようという「モーダルシフト」の働きかけが、物流業界や産業界を中心に活発に行なわれています。
これは、海に囲まれた日本においては、大量輸送が可能となる海運を有意義に利用することが、地球環境保護にとって重要な鍵になるという呼びかけです。従来の陸上輸送中心の物流から、大量輸送が可能な海運に転換してCO2の排出量を抑えることで、トラック輸送と比べてCO2の排出量は、およそ3分の1から5分の1程度に減らすことができるというデータも。
「日本長距離フェリー協会」のホームページによると、例えば10tトラックや乗用車が1,000kmの距離をすべて陸上で移動すると、それぞれCO2の排出量はトラックが1,300kg、乗用車が170kg。一方、1,000kmの移動距離の内、800kmで海上輸送を利用した場合、10tトラックでは580kg、乗用車では66kgまでCO2の排出量を減らすことができるという計算になります。このように、地球環境の保護の面でもフェリーは大きな役割を果たしているのです。
フェリーから見る初日の出
冬に旅をする人の目的として、人気が高い初日の出。フェリーの甲板に立ち、水平線から昇る朝日を望む瞬間は、多くの人に感動を与えます。中には、冬の旅の目玉として、フェリーでの初日の出クルーズを売り出している旅行会社も。以下に、これまでのユニークな事例を紹介します。
東京湾フェリーの初日の出クルーズ
三浦半島、横須賀市の久里浜港から富津市金谷港を航行するクルーズ。6時40分に乗船し、初日の出を拝んだあと、金谷港に近付くにつれて鋸山が迫り、乗船後に見た朝日が山の向こうへ一度沈みます。その後、金谷港に入港すると、再び鋸山の山頂から朝日が顔を出し、2度目の日の出を眺めることができるというクルーズです。初日の出に照らされる富士山を裾野から間近に見ることもできます。
千葉県犬吠埼沖の初日の出クルーズ
神奈川県の八景島で行なわれるカウントダウン花火を見ながら年を越し、千葉県の犬吠埼沖の初日の出を船上デッキから眺めるクルーズ。船内では、カウントダウンパーティーなども行なわれました。
船上初日の出と伊勢神宮初詣ツアー
洋上で初日の出を鑑賞したあとは、船内で大晦日イベントとして鏡割りや年越しそばなどを満喫。正月メニューのバイキングで朝食を堪能したあと、伊勢神宮で初詣をします。
「冬の海」と聞くと、寒々しい、荒れた光景を思い浮かべるかもしれません。しかし、大きなフェリーで旅をするなら心配ご無用。寒い季節でものんびり旅を楽しめます。フェリーの中で流れる贅沢な時間を、大切な人と過ごすのはいかがでしょう。
のんびりゆったりフェリーの旅

旅の楽しみ方は様々です。旅先で風景を楽しんだり、郷土料理に舌鼓を打ったり、方言や文化に触れたり。そして、忘れてはならないもうひとつの楽しみが「乗り物」です。飛行機で雲海を見ながら行くのも、電車で窓外を流れる風景を眺めながらのんびり行くのも良いですが、フェリーの旅には、飛行機や電車で行く旅とはまた違った楽しみがあります。
フェリーで行くことの利点のひとつに、自家用車での旅を楽しめることがあります。旅先で車を運転したい場合、現地でレンタカーを借りる、という方法もありますが、やはり愛車とともに旅を楽しめるのは、フェリーならではです。
また、なんと言っても、水平線から昇る朝日の美しさは格別で、それを見ながら食事やモーニングコーヒーを味わうのは、都会にいてはまず体験できない、贅沢な時間だと言えるでしょう。船内にはレストラン、娯楽室、バー、ラウンジ、浴室など、旅を快適に過ごすための設備が整っているので、思い思いの時間を過ごすことができます。
さらに、フェリーだと、人数や予算に応じて部屋の等級が選べるというメリットもあります。修学旅行や団体旅行など、大人数での旅を楽しむのにぴったりな大部屋や、新婚旅行やご夫婦での旅でも利用できるホテルの個室のような部屋など、それぞれの旅に合った部屋を選べるのは、フェリーの旅だけの大きな魅力です。
少しでも早く目的地に着きたい、と言うのももっともな気持ちですが、道中を贅沢に楽しみながら行きたい人にとって、フェリー以上にぴったりな乗り物はないのではないでしょうか。
イルミネーションが美しいフェリーターミナル
フェリー乗り場のある港は全国各地にありますが、代表的なのは、苫小牧港、小樽港、函館港(北海道)、仙台港(宮城県)、新潟港(新潟県)、名古屋港(愛知県)、敦賀港(福井県)、舞鶴港(京都府)、大阪港(大阪府)、徳山港(山口県)、神戸港(兵庫県)、新門司港(福岡県)などです。太平洋岸や日本海岸はもちろん、瀬戸内海沿岸にも多くあり、日本の海運を支える上で重要な役割を果たしています。
これらの港の周辺には港町があり、ロマンチックで独特な街並みや風情が楽しめるスポットが多く、港自体が観光地となっているところも少なくありません。例えば、山口県周南市の徳山港は、「国際拠点港湾」にも指定されている徳山下松港の一部で、周南コンビナートを中心とした瀬戸内工業地域の一角を担っている程です。
この港の近くにあるJR徳山駅の周辺では商店街が栄えていましたが、時代の流れとともに人々が郊外の大型商業施設へと流出していったため、中心市街地の活性化が検討され始めました。その一環として、1985年(昭和60年)から開催されているのが、イルミネーションイベントの「周南冬のツリーまつり」です。「徳山港フェリーターミナル」はこのイベントの中心地になっており、電飾による美しいライトアップに加え、港湾内の工場の夜景も楽しめることから、「日本夜景遺産」に登録されています。このイベントは、地元の徳山商工会議所や周南市が中心となって毎年10月から翌年1月にかけて開催するもので、JR徳山駅みなと口から徳山港フェリーターミナルまでのみなと会場は、50万個のLED電球によるイルミネーションに彩られます。
フェリーの旅やイベントに出かけて、ロマンチックな雰囲気の中で、せわしない日常をちょっとだけ忘れてみるのはいかがでしょうか。
離島と陸地を結ぶ渡し船は、住民の生活になくてはならない海上交通です。離島だけでなく、河川の対岸を結ぶためにも利用され、現在でも多くの渡し船が活躍しています。また、住民の足としてだけではなく、観光用の客船としても活躍しています。クリスマスの夜を優雅に過ごすためのクリスマスクルージングは、カップルのデートスポットとしてもおすすめです。
渡し船

瀬戸内海や九州地方は、離島が数多くあります。離島出身者には、年末年始は故郷の島へ帰る人も多くいます。大きな島なら飛行場を完備している島もありますが、小さな島では、渡し船が島民の足となります。日本で「フェリー」と言うと大型で長距離航路のものを指しますが、外国では対岸交通で使う小さな渡し船もフェリーと呼んでいます。
現在運航している渡し船は、離島地域以外にも各地で対岸交通として多くの利用があります。これらの多くは江戸時代の街道整備により登場しましたが、中には平安時代から運航されていたものもあります。
渡し船でも島の人口や本土からの距離などによって船の大きさも異なりますが、一般的には定員が十数人程度と小型のものが多く、昔ながらに人力で漕ぐものなどもあります。住民の生活の足としてはもちろん、物資の輸送や釣りなどのレジャー・観光用にも用いられ、様々な目的で渡し船が利用されています。多くの渡し船は、県や市町村が運営しており、これらのほとんどは乗船料が無料です。これ以外にも、かつて公営だったものが民営化して低料金で運航しているものや、一度は廃止になりながらも保存会などによって復活を遂げ、有志や地域住民で運営しているものなどがあります。
昭和の後期以降は、大規模な橋や海底トンネルなどが建設され、陸上輸送が大きく発達しましたが、渡し船のように穏やかな川面を見ながら、船に揺られるのも風情があります。
クリスマスクルージング

クリスマスを二人で楽しむ方法は数多くありますが、船上からキレイな夜景を眺めながら豪華なディナーを味わうという楽しみ方もあります。関東や関西では、クリスマスの日に東京湾や大阪湾の夜景を見ながら食事などができる「クリスマスクルージング」が就航しています。内装も豪華な客船は、レストランやラウンジバー、ロビー、売店などがあり、レストランでは、一流シェフが腕をかけたディナーが楽しめます。開放的なデッキに出れば、心地よい潮風が二人を包み、大都会の夜景がパノラマのように広がりロマンチックな夜を演出してくれます。普段見慣れたビル群やコンビナートも、船上から見るとまた違った表情を見せ、クリスマスにふさわしいイルミネーションが堪能できます。運航時間は2時間程度で、船は湾内の様々なスポットを巡るため、様々な景色も楽しめます。普段はナイトクルージングを運航していますが、クリスマスの夜は特別で、スペシャル料理の他にゴスペルやクリスマス・キャロルの歌声が楽しめます。大勢でクリスマスクルージングを楽しみたいときは、船を丸ごと貸し切ることも可能です。気心の知れた仲間たちと集まって、船の上でちょっとリッチなクリスマスパーティーを開くこともできます。クリスマス以外にも、結婚記念日や思い出づくりとして乗船してみてはいかがでしょうか。非日常的な空間で過ごす時間は、きっと心に残る記念日となることでしょう。